カッティング奏法が上手くなりたい方へ!
ギターを弾く上でとても大切なことは「リズム」を意識することです。
そして、グルーヴ感満載のギター演奏であるカッティング奏法を上手く行うには、やはりリズムが大切になってきます。
この記事では、カッティング奏法とは何か?また、上手くなるために大切なリズム感の重要性、そしてその練習方法を詳しくお伝えします。
リズムに関する考え方をしっかりと把握し、キレのあるカッティングを弾けるようにしていきましょう!!!
まずは私、Daisukeの自己紹介
どうも、音楽講師のDaisukeです。
現在私は作曲・編曲・DTM・ギターレッスンの講師及び職業作家として活動しております。
私の詳しい経歴は、以下をご確認下さい。
カッティング奏法とは?
いわゆるノリの良いキレのあるグルーヴィーなギターの代表的な奏法として
「カッティング奏法」があります。
ではカッティング奏法とは具体的にどういうものなのでしょうか。
テンポの速い曲から遅い曲まで幅広く使われており、多くのギタリストが重要視する奏法の一つになります。
この奏法の基本としては、右手のリズムキープと左手のコードワークやフレーズワーク、両方を正確に合わせることでかっこいいキレのあるサウンドが生まれます。
カッティング奏法を弾くために大切なこと
カッティング奏法をしっかりと弾けるようになるためにはカッティングというものをしっかりと理解して練習する必要があります。
そのために
- リズム感よく決められたテンポで弾けるようにする
- 音符の長さを理解し、しっかりと長さ通りに弾けるようにする
- ブラッシングを理解しキレよく弾けるようにする
- 実音とブラッシングを混ぜながら正確に弾けるようにする
ということが必要になります。
カッティングギターがすごい!布袋寅泰「Freedom In The Dark」
日本を代表するギタリスト「布袋寅泰」さんは、カッティングギターがすごいです。
こちらの0:46付近で聞こえるギターがまさに「カッティング奏法」による演奏になります。チャキチャキするような音のイメージでリズミカルなカッティングは、聞く側もクセになります。
ポップスからロック、ファンクから色々なジャンルでカッティング奏法を聞くことができます。最近は特にこのカッティング奏法を取り入れる楽曲が増えており、ギター演奏で求められる機会も多くなると想定されます。
需要も高くなりつつあるカッティング奏法ですので、かっこよく弾けるようになりたいですね!!
カッティングが上達するために!リズムの重要性を知る
上記でも述べたとおり、カッティングは「リズム感よく決められたテンポで弾く」ことが大切です。
まずは、カッティング奏法を練習する上で重要なリズムのことを知っておく必要があります。
ギターの演奏を上手に聴かせる上で大切なことって、皆さん何かわかりますか??おそらくその人によって何がうまい!と思うかはそれぞれ違うと思います。
私が考えるギター演奏に必要な事とは
- しっかりとメロディやフレーズを間違えずに弾けること
- 状況に合わせて最適なフレーズを選択して弾けること
そして
- リズム感よくノリを出しながら弾けること
だと感じています。
メロディやフレーズなどを上手に弾くことは当然ながら大切です。
そしてそれと同じくらい
「リズムよく弾けること」
が重要なんですね。
仮に
- メロディやフレーズがすごく弾けるがリズム感悪いギター
- メロディやフレーズは初心者だが、ノリのある心地よいリズムのギター
この2パターンの方がいたとします。
実際にどちらのギター演奏が良く聴こえるでしょうか。
おそらくですが1のリズム感のよくないギター演奏は、どんなに凄いフレーズを弾いても上手には聴こえません。
むしろ2のように、簡単なフレーズをグルーヴィーにかっこよく弾いた方が、断然うまく聴こえてしまうと思います。
それくらいリズム感は重要です。カッティング奏法をうまく弾く為に、リズム感の特訓は避けては通れない道なのです。
そもそもリズム感の良いギター奏法とは?
カッティングにおいて、リズムよく演奏することはとても重要です。キレのあるかっこいいカッティング奏法をマスターするためにリズム感の良いギターの考え方を理解し、それをイメージしながら練習できるようにしましょう!
では実際にリズム感の良いギター演奏とはどういうものなのでしょうか。
その要素としては
- 決められたテンポの中で一定のリズムで弾ける
- 決められたテンポの中で更にリズムに抑揚がつけられる
- 全ての音符の長さをしっかりと弾きわけられる
- 実音とミュート音を自在に使い分けられる
- どんなリズムパターンが来てもリズムがずれずに弾ける
ということが挙げられます。
①決められたテンポの中で一定のリズムで弾ける
現代の音楽というものは、必ずではありませんが一定のテンポを基準として作られています。
全ての楽器陣はそのテンポを軸に楽器を演奏し、全員が同じ一定のリズムの中でまとまりを出します。一定のテンポでの演奏は意外と難しく、メトロノームを基準とした演奏練習を必要とします。
もし仮にギターだけがテンポのずれた演奏をしていると、明らかにギターだけ浮いて聴こえてしまい異質に聞こえます。
ギターもこうしたアンサンブルの中において、やはり他の楽器と同じように一定リズムで演奏することが求められます。
それができるようになった時点で、リズム感がある程度良いギターに聴こえてくるようになるということになります。
②決められたテンポの中で更にリズムに抑揚がつけられる
一定のテンポで安定して弾けるようになってきたら、さらにそのリズムに抑揚をつけていくことになります。
抑揚=強弱や音符のタイミングの微量の変更を表し、それをつけることで更にギターがカッコよく聞こえます。
例えば同じ伴奏を「抑揚なし」と「抑揚あり」で弾いてみるとこうなります。
ギター伴奏抑揚なし
ギター伴奏抑揚あり
いかがでしょうか。
抑揚によってリズムやグルーヴが異なって聞こえることがわかると思います。
特にカッティング奏法になると、このグルーヴ感の気持ち良さが重要になってきます。リズム感の良いギター演奏には、このような抑揚も含んで安定した演奏をすることということになります。
③全ての音符の長さをしっかりと弾き分けられる
リズムをしっかりと演奏する上で、音符の長さをしっかりと意識して弾くことも重要です。
楽譜では音符の長さというものは基本的に指定されています。最初はその指定された音符の長さ通りに弾けるようにすることが重要です。
例えばこういった楽譜があったとします。
この楽譜では8分音符の長さで弾くことが指定されていますので、しっかりと8分音符の長さのみ伸ばし、あとは切るということを意識します。
これが曖昧になるとキレの悪いギター演奏に聞こえてしまい、リズムがアバウトに聞こえるギターになってしまいます。
カッティング奏法にとって、このようなキレの悪さは致命的です・・・。そうならないためにも、指定した音符通りの長さで弾く練習が大切です。
④実音とミュート音を自在に使い分けられる
ギター演奏には必ずといっていいほど「ミュート」というものが必要になります。
ミュートとは、その名の通り「音を消す」ことなのですが、先ほどの音符の長さと関係してきます。
楽譜には音符の他に「休符」というものがあります。
先ほどの楽譜の中での休符はこれになります。
こういった休符がある場合は、その部分はミュートして完全に音を消す必要があります。
つまり「実音=音符」を長さ通りに弾き、休符も長さ通りに音を消す。
ということを徹底するということになります。
ミュートには2パターン方法があり、左手で止めるパターンと右手で止めるパターンがあります。
左手でミュートする場合
右手でミュートする場合
カッティング奏法でもこのミュートは多用されます。どちらもよく使うので、音を止める時には必ずどちらかの方法で行うようにしましょう。
⑤どんなリズムパターンが来てもリズムがずれずに弾ける
楽曲の演奏は様々なリズムパターンがあり、簡単なものから難しいものまであります。
カッティング奏法においても、簡単なリズムから左手右手が複雑に動くリズムまで様々です。
どんなリズムパターンの演奏でも、同じように正確に弾けることが最終目標だと思います。
そのためには先ほどまで記述したような項目を全てマスターする必要が出てきます。
これらがリズム感のあるギター演奏をするために練習するべきポイントになります。最初はなかなかできないかもしれませんが、意識するだけで変化してきます。できるようになるまでしっかり練習しましょうね!!リズムの基本については以下の記事をご確認下さい!
4分音符と8分音符でストロークしてみる
ではカッティング奏法を極めるための最初のポイントである「4分音符」と「8分音符」でのストローク練習をしてみましょう。
4分音符でストローク
まずは「4分音符」になります。
4分音符はメトロノームと同じ位置でダウンのみで弾くことになります。
BPM100でコード「C」を4分音符で弾いてみるとこのようになります。
4分音符BPM100コードCストローク
まずはメトロノームとしっかり合うように、ダウンピッキングで正確にCを弾く練習をしてみてください。
できるようになってきたら、いろいろなテンポで同じように練習してみましょう。
8分音符BPM100コードCストローク
次は「8分音符」を弾いてみます。
同じようにBPM100でコード「C」を8分音符で弾いてみると、このようになります。
8分音符BPM100コードCストローク
先ほどの4分音符の倍の数の音を弾くことになりますが、同じようにダウンピッキングのみで弾きます。
クリックのカウントはあくまで4分音符の状態で、クリックのないところにも8分音符を入れていきます。
あくまでリズムの軸は4分音符になりますので、リズムがずれてきたらまた4分音符に戻してみてください。
ステップアップのために
リズム自体が安定してきたら、強弱をつけて弾いてみる練習をしてみましょう。
強→弱→強→弱→強→弱・・・と繰り返し弾いていきます。
全てダウンピッキングなので強弱がある程度つけやすいと思います。
このように抑揚をつけていくことで、リズムにうねりが出てよりグルーヴ感のある伴奏ができるようになります。
このうねりはカッティングでもリズムにグルーヴさを出すために非常に有効です。強弱をつけてもリズムが崩れず弾けるように練習していきましょう!!
16分音符を混ぜながらストロークしてみる
8分音符のリズムができるようになったら、次は16分音符のストロークリズムに挑戦していきましょう。
16分音符のリズムは、カッティング奏法における基本リズムになります。ここでしっかりと16分音符リズムを練習しておくことで、カッティングがよりやりやすくなりますので頑張りましょう!
16分リズムの場合、イメージはドラムの8ビートリズムが基本となります。
ドラムの一般的な8ビートリズムを表記するとこのようになります。
ギター16分音符入りストローク
この8ビートのリズムと同じように、試しにコード「C」で16分音符入り右手のストロークを弾くとこのようになります。
今まではストロークはダウンピッキングのみでしたが、ここで初めてアップピッキングが出てきます。
アップピッキングの際も、ダウンピッキングと同じような音が出るようにストロークすることが重要です。
慣れないうちはとにかくこのリズムが弾けるように練習することを意識しましょう。
慣れてきたら、メトロノームなどで一定のテンポで16分リズムを刻めるように練習していきましょう。
リズムにブラッシングを入れてみる
ギターの伴奏では、実音を出す以外にリズム感を出すために「ブラッシング」という奏法を取り入れて弾くことがあります。そしてカッティング奏法においても、半分以上がこのブラッシングを基本としたリズムになります。
ブラッシングとは、左手でギターの弦に軽く触れた状態で右手をストロークすることです。
通常はこのブラッシングを、コードストロークに織り交ぜながら演奏することが多いです。
コードA(バレーコード)でブラッシング
では試しにコードA(バレーコード)でブラッシングを入れて演奏してみましょう。
チェックポイント
ブラッシングを使う際には少し注意が必要なことがあります。
それは
「オープンコードとブラッシングを混ぜて弾くのは難しい」
ということです。
開放弦の混じるオープンコードでブラッシングを混ぜて弾くと、コードフォームとブラッシングで手のフォームが忙しくなります。
そのためブラッシングは「バレーコード」と組み合わせて使うことが多くなります。
またカッティング奏法の場合もコードを省略して弾くようなフォームが多くなるため、コードストローク+ブラッシングと同じような感覚で弾くことになります。
最初はバレーコードのフォームのまま、ストロークとブラッシングを織り交ぜて弾く練習をしていきましょう!!
カッティング奏法とストロークとの違い
さて、それでは、いよいよ具体的なカッティング奏法について見ていきましょう。
カッティングは先ほどのストロークとブラッシングの組み合わせになりますが、ストロークとは異なる点があります。
それは
- 弾く弦の本数が色々ある
- ストロークよりもリズムカルに素早いピッキングで弾く
ということです。
弾く弦の本数が色々ある
カッティングは1本の弦だけを弾く場合や、2本の弦、3本の弦を弾くなど、多くのバリエーションがあります。
弾く弦が何本になっても、右手の弾き方の基本は変わらず切るように弾いていきます。
弾く弦の本数によってピックの当たり方も変わるので、いろいろな弦の本数パターンでしっかりと練習することが必要になります。
ストロークよりもリズムカルに素早いピッキングで弾く
キレを出すためには、ピッキングスピードを速める必要があります。
ストロークの時はなんとなく「じゃら〜ん」というイメージですが、カッティングは「ジャキン」という感じになります。
そしてカッティングは、アップダウンピッキングを交互に行う「オルタネイトピッキング」が必須になります。
オルタネイトピッキングでキレよく弾けるような練習が必要となってきます。
多くの楽曲でこのカッティング奏法は使われております。
ここでカッティングの基礎をしっかりと理解し、グルーヴィーなリズムを出せるようになっていきましょう!
単音でのカッティング練習
では最初に「単音」によるカッティング奏法を練習してみます。まずは基本的な練習として、以下を弾いてみて下さい。
単音カッティング1音
たった一つの音を弾くだけですが、実音とミュートをしっかりと弾き分けるのは結構難しいものです。
また実音を出す際、どうしても他の弦を弾いてしまうノイズが出てしまうことが多くなります。
これを打開するために、左手で他の弦をミュートする必要が出てきます。
右手はある程度弾く弦以外に触れても構いませんが、それを左手でミュートして消しながら弾きます。
できるようになってきたら、音階を動かして弾いていきましょう。
単音カッティング3音
左手の弦を押さえる場所が動いても、基本的には同じようにカッティングしていきます。
とにかく大事なのはリズムとキレです。
最初は多少雑音が混ざっててもいいので、気持ちのいいリズムで弾けるように心がけましょう!!
複数音でのカッティング練習
単音カッティングができるようになってきたら、弾く弦の数を増やしていきます。
2本弦のカッティングを弾いてみましょう。
2本弦のカッティング
弦の数が増えても、先ほどの単音カッティングと奏法は変わりません。
左手でノイズカットのミュートをしながら、右手で2本の弦をカッティングしていきます。
今回は2本の弦が同じフレットになっていますので、こういう場合は指をバレーして1本の指で弦2本分を押さえます。
3本弦のカッティング
同じように弦を3本に増やしても弾いてみましょう。
弦が3本になっても同じように、ミュートとキレを重視して右手をカッティングしていきます。
弦が4本を超えてくると、先ほど弾いたコードストローク+ブラッシングと同じ弾き方になってきます。
コードストロークとカッティングの違いは、休符とキレにあります。
カッティングの方がキレよく休符が多いので、よりグルーヴィーでノリがよく聞こえる傾向があります。
この2つの奏法は似ていますが、こういった意識を持って弾き分けていくことでニュアンスが出せると思います!!
最後に
ギターの伴奏において、こうしたリズムを意識した演奏は実際に多いです。
そしてカッティング奏法の考え方は、多くの楽曲で使用されており弾く機会も多くなっています。
実音とミュートをしっかりと弾き分け、リズムカルでノリのいい伴奏ができるととても気持ちのいいグルーヴが出ます。
リズム感をしっかりとキープし、キレキレのカッティング奏法でグルーヴィーなギター演奏を目指してください!!!
ギター初心者の方はまずリズムの安定を、脱初心者を狙う方はさらにノリとキレのあるリズム練習を心がけましょう!!